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活ママ

活ママが算数と落語について何でも尋ねます。活ママに聞いてほしいことがあればどうぞお知らせください。

活ママの教えてくださる? ー算数編ー

⑦解法の扉の鍵を見つける問題

⑥1から順にリストを作る

⑤1粒で2度おいしい問題

④落ちなく重なりなく

③全部書き上げる

②分けて計算してあとでたす

①算数編
・続「分けて計算してあとでたす」
・逆唱体験を
・粉のサイズ?
・全九九、半九九
・分けて計算してあとでたす

活ママの教えてくださる? ー落語編ー

笑福亭喬若さんに聞きました

⑦解法の扉の鍵を見つける問題

 

塾長「今日は、算数オリンピック(小六まで)の問題から一問ご紹介します」

活ママ「なんだか、むずかしそうな問題ですねえ」塾長「むずかしいと思いますよ。でも、今、リアル脱出ゲームやら、謎解きウォークラリーが流行っていますからね。きっと、大人もこういう難しさを求めていると思います」

活ママ「そうですね。大きい方の素数を4つたすと79+83+89+97=348になるので、48を減らすように調整して300に合わせればいいですか?」

塾長「いいセンスです。端っこから考えるのは基本中の基本。大きい方から目をつけるというのはとても大事ですね」

活ママ「ずいぶん、当てはめてみましたけれど、うまくいきません」

塾長「この問題は、まず、どのマスから開けるかの『解法の鍵』が必要になるんです。それは、ほとんど目の前にあります。脱出ゲームのように隠されていることはあまりありません。普通では気付かないようなところにそっと置かれています。4つの素数をたしたとき、それが偶数になっていたことに気づきませんでしたか?奇数の251や271を4数の和でつくろうとすると、素数ではつくりにくい。ほとんどが奇数ですからね。4つの数で奇数をつくるには、奇数+奇数+奇数+偶数、奇数+偶数+偶数+偶数。どうしても偶数が必要になります。そこで、問題をじっくり観察します。素数は1とその数自身しか約数をもたない数。素数の中で偶数なのは『2』だけなんです。ここに解法の鍵がありました」

活ママ「わかりました!『あいえお』の和は偶数なので全部奇数。『いうおか』の和も同じ。『えおきく』の和は251で奇数なので3つの奇数の和と『2』、『おかくけ』の和は271で奇数なので、これも3つの奇数の和と『2』になるんですね」

塾長「では、『2』のマスは?」

活ママ「『お』に『2』が入ると、『あいえお』の和と『いうおか』の和が奇数になってしまうのでダメで、『く』に入ればうまくいきそうです。『く』のマスは2です。」

塾長「やりましたね。解法の鍵を手に入れて扉が開きましたよ」

活ママ「けど、まだスタート地点に立っただけという感じです。これからどうするんですか?また、素数を当てはめていくんですか?気が遠くなります」

塾長「速く求める必要はありませんよ。楽しさを味わうペースで、数を推理していくことを楽しみましょう。それでも9つのマスの答えが気になる方はいらっしゃいますか?大人の算数サロンを始めてみようかと思うんですけど、いかがですか?」

⑥1から順にリストを作る

 

解答「連続する数字の和が□となる組み合わせが3通りあるということは、□は少なくとも2通りの1以外の奇数の積の形で表すことができなければなりません。そのような形で最も小さいのは3×3です。しかし連続する数字の和が9になるのは、2+3+4と4+5の2通りしかありません。次に小さいのは、3×5です。連続する数の和が15になるのは、1+2+3+4+5、4+5+6、7+8の3通り。15が最も小さい□になります」

塾長「確かに。何を指しているのかも、わかりにくいかもしれませんね」

「活塾では、「しかた」よりも「しくみ」の方を大事にし、数のならびが見えやすいような活動に導きます。ズバリ、『1から順にしらみつぶし作戦』でノートに向かいます」

「これがそのリストです」

「連続する2つの数の和をリストにすると、1+2=3,2+3=5,7,9…と。連続する3つの数の和をリスト化すると、1+2+3=6,2+3+4=9,12,15となっていきます。そうすると、数のならびが見えてくるでしょ。そこにリズムや続きが見えてくれば、しめたものです。続きが見えるということは、規則性に気付くということですからね。いっぱい発見があるかもしれません」

「何も一番小さい□だけを求めなくていいですよ。もっともっとたくさん調べていけば、算数の土地勘ができてきます。もしかしたら、とても美しい風景に出会えるかもしれません」

塾長「いいですね。お茶しながらリラックスして。算数を味わう楽しさを」

⑤1粒で2度おいしい問題

活ママ「うちの子(二年生)も、前号のお兄ちゃんのように来年の算数オリンピック「キッズビー」(一年~三年)に向けて過去問をし始めました。でも、とってもむずかしいですねえ。来年の六月までに間に合うでしょうか?」

塾長「算数オリンピックの問題はどれも練りに練った問題です。レベルは思考力検定と同じ程度のものもありますが、二問分が一問になっているものもあって難問感が増しています。例えばこの問題」

問題「こうじくん、みつおくん、たかしくん、まさきくん、ひろしくんの五人が身長と体重をはかり、グラフにマークであらわしました。次のヒントをもとに、それぞれのマークがあらわしている人の名前を答えなさい。

〈ヒント1〉こうじくんは、ひろしくんより身長が高い
〈ヒント2〉みつおくんは、たかしくんより体重が重い
〈ヒント3〉たかしくんは、ひろしくんより身長が低い
〈ヒント4〉まさきくんは、こうじくんより体重が重い
〈ヒント5〉ひろしくんは、まさきくんより体重が重い」

 塾長「これを解くときの準備として、身長の高い順に★♠♦♣♥ 次に、グラフを90度左に回転させて、体重の重い順に★♦♣♠♥と整理することが大事です。そうすれば、思考力検定の問題二問分に見えてきて、取り組みやすくなるでしょう。

 身長については、ヒント一と三から、うじ、ろし、かしの順だとわかります。

 体重については、みつお、かしの順と、ろし、さき、うじの順の二つがわかります。

  ここからがもう一問、楽しい数的推理の問題です。

 身長のこうじくんは、♣と♥ではないことは明らかですから★♠♦のどれか。体重は、★と♦ではないことは明らかですから、♣♠♥のどれかです。だから、うじくんは♠だとわかります。

 次に、身長★♦♣♥ 体重★♦♣♥の、体重の方を見ると、こうじくんより体重が軽い人が一人だけいます。それは、かしくんしかいません。ですから、身長★♦♣ 体重★♦♣こたとなります。

 身長でこうじくんとたかしくんに挟まれているひろしくんは、♦か♣のどちらか、体重でひろしくんは、こうじくんとの間にまさきくんがいるので、★か♦のどちらかになります。それで、この二つから、ろしくんは♦とわかります。

 そうすると、体重でひろしくんとこうじくんに挟まれているさきくんは♣だとわかります。身長は★こひまたの順に 体重は★ひまこたの順になります。

 最後に残った★は、最後に残ったつおくんということになって、これはヒントにも当てはまります」

活ママ「むずかしいと思いますけれど、二年生でもわかりそうだと思えました。後半の絞り込んでいくところは楽しいですね」

塾長「そうでしょ。間に合うかと聞かれると、むずかしいですと答えることが多いですが、楽しめますかと聞かれると、十分楽しめますと答えたいです。二次元的見方と一次元的な見方を行き来させるむずかしい問題だと思いますが、子どもたちは、思考力検定の問題を段階的、パズル的に組み合わせて考えていくので、案外、組みしやすいと思います。活塾では、問題を解くだけでなく、解けた問題については、「まず…」と言って説明させているので、お家で説明を聞いてあげてくださいね」

活ママ「わかりました。親子で楽しさを味わいたいと思います」

④落ちなく重なりなく

塾長「お母さん、わけが知りたいだなんて、そこにもきっと活塾のお作法があると思われたのですね。さすがです。では、今回も具体的な問題で説明しますね。

 

 

塾長「これも初めての子どもは、真っ先に答えを求めようとします。ですが、活塾の子どもはまず準備をします。せっかくの問題です。じっくりまわり道をして味わいます。

 ぶたさんには〇印、ぞうさんには□印を描いて、問題を解く準備をしましょうと指導します。

 すると、大抵、自分の目に入ったところから印を描いていきます。狩猟本能とでもいうのでしょうか、獲物をゲットするように、真ん中から印を描いていきます。

 活塾では小さいころから「落ちなく重なりなく」数的処理をするために、端っこから順に、同じ方向で調べていく態度を養います。縦に見ようが横に見ようが構いませんが、チラシ広告のZの法則や、ウェブサイトのFの法則ではダメです。印を落ちなく重なりなく全部描いてから、すぐ左にぶた、すぐ下にぞうの記号パターンをさがすのです。

 答えが合っていればいい、速くできた方がいいという子も、低学年のうちは問題がなくても、学年が進んで取り扱うデータが大きくなると、この構えがとても大切で、順列、組み合わせのとき、絶対に必要になります。

それでもその時、間に合えばいいのですが、全部調べるのはめんどうなどと言い出したりしたら、矯正指導はとても困難です。「大丈夫、平気、余裕」という子に限って、答えが複数ある時、一つ見つけて安心してしまい、点数になりません」

塾長「いやいや、まだ二年生、大丈夫、平気、余裕です」

③全部書き上げる

塾長「具体的に。はいはい。いっぱいありますよ。」

塾長「はい。活塾ではまわり道だらけですから…」

「算数ラボにある問題です。『0、1、5、8、の数字のカードが1枚ずつあります。この4枚のカードを全部並べて数をつくります。(1)一番大きい数は何ですか。(2)二番目に大きい数は何ですか。』という問題です。

 むずかしいというほどの問題ではありませんが、正答率は(1)がほぼ100%、(2)は半分の50%というところです。この手の問題は小学校五年生の教科書に登場します。

 活塾の二年生も

(1)は 8510 と正解しましたが、

(2)は 5810 と答えていました。

 仕方を教えてしまえば正解にはすぐたどり着きますが、まだ二年生です。たっぷり時間をかけられます。そこで、全部試すという六年生の順列の作業に誘いかけました。

 すると、いろんな発見があって、・千の位に8が来るのは6つ ・6こずつのリズムがある ・551100のように222のリズムがある ・10と01が逆になってる などなど、発見話を楽しそうに語るのでした」

塾長「そうそう、全体の地図が見えると自分の居場所がはっきりするでしょ。近道を教えてもらったら、次の問題の時にすぐ近道を教わろうとするけど、土地勘がある子は自分で探検しようとするんですよ。もしかしたら、『真ん中の数は何でしょう?』という問題に、『二つある時はどうするんですか?』と質問するかもしれませんよ…。

 『まわりみち』たまらなくすてきでしょ」

②分けて計算してあとでたす

活ママ「先生、いつもおっしゃる基本のお作法『分けて計算してあとでたす』っていうフレーズ、本当に万能なんですか?」

塾長「えっ?万能?ああ、まあ、うーん、ごめんなさい」

活ママ「またごめんなさいですか?」

塾長「万能だったら多分教科書に載ってます。特に数学の世界は反例が一つあれば偽ですから、そんな不確実なことは教科書には載せられませんよね」

活ママ「反例があるっていうことですか?」

塾長「そもそもこれは命題レベルの話ではなくて、誘いかけの呪文程度のことなので、反例を示すというほどのことではないですけれど…」「五年生で小数のわり算を学習したときのことでした。 5.4÷3 を整数部分とと小数部分に分けて計算して後で足そうとしていた子がいました。それでずっと困っていたんです。できないって。どうです?この子すてきでしょ」

活ママ「すてきって?」 

塾長「この子、小数のかけ算の時には、を整数部分と小数部分に分けて3×3と0.2×3に分けて計算して後で足していました。それで、わり算でもきっとできると思ったのでしょうね」

活ママ「それで塾長はどうしたんですか?」

塾長「それはそれはほめましたよ。分割して考えることは基本中の基本。しかも、仮説を立てて検証し壁にぶち当たって困っているなんて、科学者として大事な素養でしょ。態度として最高だと思います」

活ママ「そうですね。その子、ほめられてうれしかったと思いますよ。」

塾長「万能なフレーズではないですけどね。もっと大事なものを引き出す呪文だと思っています。ホントは3年生の時のように、5.4を3.0と2.4に分けて…。野暮ったくなるので止めておきましょう」

①算数編

続「分けて計算してあとでたす」

塾長「ごめんなさい。それはそれは気の毒な思いをさせてしまいました。学校の先生は『分けて計算してあとでたす』を基本だとは思っていないですからねえ、本当にごめんなさい。」

塾長「台形の面積ですね。教科書では右半分が不自然に空けてありますよね。これは、同じ台形をもう一つひっくり返して並べることに誘いかけてるんです。」

塾長「これを倍積変形と言います。その方が(上庭+下底)が理解させやすいんですよ。」

塾長「そうですよ、活ママ。もちろん倍積変形の考えはちゃんと経験させますけど、基本と照らして応用を学ぶ方が深い理解に結びつきます。ですから、やっぱりミカちゃんは基本に忠実ですばらしいですよ。」

塾長「はい。啓林館は三角形の面積を先に、東京書籍は平行四辺形の面積を先に学習します。理解への道筋が違うんです。三角形に分けて…」

①逆唱体験を

塾長「どれどれ、このテストですかあ。ああ、活ママ、心配ご無用。むしろ大チャンス!

 ねえ、あおいちゃん、ちょっと13- 4をしてみて」

あおい「13- 4は4ひくだから、

塾長「やっぱりね。」

引き算

 あおいちゃんは、ひく1の指のとき13と言っています。4ひくことを「かぞえひき」でしっかり考えて計算しています。

 くり上がりのたし算では、さくらんぼ計算という計算の仕方を学びます。ただしその前段階で、8、9、10、11、というように「かぞえたし」もていねいに教えてもらうので、比較的つまずきは少ないです。

 その次の、くり下がりのあるひき算では、さくらんぼ計算がわかっているものとして取り扱われることが多いです。しかも逆唱経験は順唱経験に比べ少ないのでつまずきやすくなります。

 でもこのつまずきは貴重な経験。0、1、2,3と唱えてしまっていることを1、2、3,4に直すように、12、11、10、9と逆唱経験を積むといいでしょう。「ちかみちよりもまわりみち」、この経験によって数のしくみが一段高いところから見えることでしょう。」

②粉のサイズ?

塾長「ですよねえ。すぐには無理だし、わからなくても大丈夫ですよ。六年のまとめでしますし、どうせやっても、それまで覚えているわけないですよ。それに、アメリカでは、マイルだのポンドだのガロンだのと言って、メートル法を採択してないですからねえ。」

塾長「ごめんなさい。では、今回は遊び心で、漢字で勉強してみましょう。なんてったって、松江算数活塾は国語を基盤とした算数を謳っていますから。」

 一八五〇年(明治十八年)日本は新しい統一単位であるメートル条約に加入し、国民に

広く馴染むよう漢字表記を考えました。「m」を「米」、「g」を「瓦」、「L」を「立」としたのです。

塾長「米、瓦、立をそれぞれ定め、㎞も㎏もkLも決めました。「㎞」は「粁」です。」

塾長「どうしました。あっ!って。」

塾長「すごいですねえ。教科書で教えないところまでわかっちゃいましたねえ。」

塾長「ありますよ。㎎は瓦に毛です。毛は「もう」と読みます。」

塾長「そうです。そうです。」

塾長「ありますよ。粁、粨、籵、米、粉、糎、粍と並びます。1デシメートルは粉と書きます。10㎝で粉って、サイズ感が合いませんね。」

③全九九、半九九

塾長「そりゃあ忘れちゃいますよ。また覚えればいいだけのことです。九九で思考力を開発するわけではないですから、心配は要りませんよ。」

塾長「そんなつもりはないですけれど、英語圏では九九は無いですし…。」

塾長「そうですね。おっしゃる通り。それでは、半九九を試してみましょうか。」

塾長「そうです。半九九です。日本の九九の始まりです。

 日本の九九は、平安時代に中国から伝わってきたと言われています。九九をなぜ九九と呼ぶかというと、インイチでもニニンでもなく九九から始まったからです。

 九九 八九 七九 六九 五九 …一九

    八八 七八 六八 五八…一八

       七七 六七 五七…一七

          六六 五六…一六

というような順で並んでいて、覚える九九も少ないです。半九九には、ハチロクもシチロクも登場しませんよ。」

塾長「いやいや冗談ですよ。半九九の並びを覚える方が難しいから、すぐに『学校でした九九の方がいい』って言いますよ。」

塾長「それよりもインドの九九はね。19×19まで361個もあるんです・・・」

④基本の呪文「分けて計算してあとでたす」

凹型

塾長「そうですね。でも、お困りってほどのことでもないですし、私はカツオちゃんの考えは基本に忠実ですばらしいと思いますけどね。」

7+5

塾長「カツオちゃんのような分割して考える思考形式は基本中の基本で、小学6年間を貫いています。1年生では、右図のさくらんぼ計算がそうです。この基本となる分割する考えを最初に試そうとする構えはとてもいいんですよ。」

塾長「基本に対しては応用ですね。応用は、「全体から部分を引く」考えで、くぼみの部分を引くんですね。そして、どちらかというと、このテストではこっちの応用の方が期待されているでしょうね。」

塾長「たまたま計算ミスがあったから言うわけではないですが、基本あっての応用ですからね、基本と照らして応用がわかる方がいいですよ。怪我の功名ですよ。」

塾長「私は、基本を「軸」としてはっきり認識させるために、「分けて計算してあとでたす」というキーフレーズにして教えています。さくらんぼ計算もできるだけ早いうちに「分けて計算してあとでたす」に言い換えて、54 ÷3の筆算も 30 ÷3 と 24 ÷ 3に「分けて計算してあとでたす」、サッカーのユニフォームの上が1150円、下が850円の時の11人分という問題も「上下べつべつ方式」「上下いっしょに方式」などと言わずに「分けて計算してあとでたす」にそろえています。すると、子どもたちは、まずは分けてみようと動き始めるんです。」

「基本から応用に向かうのが算数のお作法です。この問題に限っての話だと応用の仕方がわかればいいことになりますが、小学校算数では圧倒的に分けて考える場面が多いですから、基本に忠実であることはすばらしいことなんですよ。ちかみちよりもまわりみちです。」

塾長「肝心?肝心じゃないですけどね…。それは次号で。」

⑤のつづき 見えないところが見えるようにする

塾長「基本さえしっかりしていればいいんですよ。」

塾長「冗談言ってごめんなさい。要は基本あっての応用が大事だということを確認したかっただけです。」

「では、応用のお話です。こういった複合図形の面積を求める問題は、大きな長方形から小さな長方形を引く方が「計算がかんたんで楽」という数値設定の仕掛けがしてあることが多いです。でも、計算が楽ちんだからという理由だけで「全体から部分を引く」解法の方がいいと感じるのは、とてももったいないことだと思います。」

「この問題の醍醐味は、見えない部分に着目するところにあります。そこで、手っ取り早いのは、見えない部分をちょっと移動させることです。」

「点線が実線になって見えてきます。しかも、どれだけ移動させたかを知らせないでいると、応用軸の解法しか思いつきません。」 

「こんな風に取り扱うと、「見えない部分に着目する」「図形を動かして考える」という算数のお作法が身につきます。「ちかみちよりもまわりみち」

塾長「はい。喜んで。かしこまりました。」

笑福亭喬若さんに聞きました

 

喬若「ふつうのおっちゃんですから私、「尊敬するように」とか「言葉に気をつけて」とかはいらないです。なーなーおっちゃん、で大丈夫です。萎縮すると、こどもたちが聞いてみたいことが聞けなくなりますので。ネタにもなりますし、よろしくお願いします。😊」

喬若「桂枝雀師匠の「住吉かご」を聞いてです。マクラの中、小咄で、

「電車ができたときは、電車がいばった。『君らは人に引かれたり馬に引かれないと進めないやないか、わしゃ自分で走れるんや』

 言うてたら自動車ができて、

『電車君、君は線路しいてあるところしか行

けないやないか。ぼくはどこでも行けるぞ』

 それを聞いた電車が、

『今までいばっていたぶん恥ずかしい。穴があったら入りたい』

 言うて地下鉄ができた。」

喬若「先日ある中学で私への質問の8割が『どうして落語家になられたんですか』でした。コロナ禍で暇でしたし、その質問に生徒全員126通返事を出しました。落語が好きだから、落語を聞いて好きになった、一度だけしかない人生だから、勉強きらいやったから、などなど126通、頭おかしくなりまして、40通くらいからでしょうか。記憶がなくなりました。見返してみると、返信の6割が「女の子にチヤホヤされたいから」になっていました。寂しがり屋なのかもしれませんね。」

そんなんもわからんのかいな

喬若「こどもの前で落語するのは好きなんですよね。ふだん気がつかないことを気づかせてくれる。」

喬若「『落語って言うのは、一人で話して一人で返事してお話を進めていくんですよ』言いましたら『おっちゃん友達おらへんの?』

 ある落語会で演じる舞台の設営していて、高さや距離これでいいかなあと一人で順番に客席に座ったりしてましたら6才くらいの女の子が、『おっちゃんも落語見るの?』」

私の方が学ばされることが多いと思いま

す。楽しみにしています。」

喬若「低学年の時、母に教えてもらっていて『そんなんもわからんのかいな、前、教えたやろ』ってなって、わからないままになり、さらに萎縮してしまいました。親子間の教育って、焦りやら苛立ちがあるのでこどものころからの塾教育というのは一票投じます。

 ちなみに息子は塾には通わせてません。宿題は、食卓でやるようには仕込みました。部屋がないだけですが。笑笑。

 6年生やのに関数みたいなことやり出して、同じ宿題の問題を私が試しに解こうと頭を抱えていると、息子に『そんなんもわからんのかいな』って言われました。昨日の話です。」

見えないところを見えるようにする

笑福亭喬若
       笑福亭喬若さん

喬若「一人芸ですからね。役柄に合わせた衣装や道具があるわけやないですし、第一舞台もないですしね」

目線で追う

喬若「例えば、せんすを使って、刀や釣り竿を表現する場合ですね。目で短いせんすの先から上を、ない部分から上を見る、というのがありますね。

 せんすをはしにしてうどんを食べる。ない部分に息をふきかけて冷ます。語りかける人物の表情の変わり方まで、「見えないところを見えるようにする」落語のおしゃれなところやと思います」

間で

喬若「見えないところを「間で表現する」のも落語独特の表現ですね。

 大きい家の表現。

訪問者「こんにちは、こんにちはー」(目でさがす)

家人「んー?あーだれや思たら、あーお前さんかいな。わからなんだわ」

 小さい家の表現

訪問者「こんにちは」

家人「あーびっくりしたー」

喬若「子どもたちもですが、活ママもお家のみなさんも、「まわりみち」の読者の皆さんも考えてみてください。

 できるかなぁー。

300メートル先の人を呼んでください

 亡くなった先代の笑福亭松喬から聞いた話です。落語でもわずかではありますが、この手法が見受けられます。」

喬若「おもろいけど、違います!」