松江算数活塾のロゴ

 第四回活活寄席には多数ご来場いただきありがとうございました。

 里みちこさんと民間塾とはどう考えても結びつきません。松江算数活塾主催としましたが、なるべく目立たない立ち位置にいようと思っていました。その思いからでは決してないですが、私は詩展前夜に転倒し、救急搬送され、里さんをお迎えできませんでした。

 最終日の最後の詩語りの時にやっと会場に行くことができたのですが、里さんは笑顔で迎えてくださいました。あべこべでした。しかも、「転んじゃったの。私も。転んじゃった同士ね。」と。もうそこで涙がこぼれます。一瞬にして里ワールドの懐の中に迎え入れてくださいました。

 里さんは、算数活塾にたくさんのお土産を持ってきてくださいました。*友愛数で仕立てられた「いのちの四季」は、ギャラリーあいえんきえんの離れの長押にピッタリ収まり、「新しいことを始めるのはたいへんなことだけれど、がんばりなさい」「わたし今回新たに作ってきたのはこれだけなの」と、算数活塾とのご縁を友愛数で結んでくださいました。ますます算数を磨いて、里クオリティーまで高めなければいけません。

 まず、最初に思い浮かんだのは重さの授業です。「重さの計算ができなくても、地球より重いものがわかる方がずっと大事」と言っていた昔を思い出しました。その時、里語を駆使できていたのなら、もっと重厚で上質な算数授業ができていたのにと思います。

 いのちの四季にふれ、里ワールドを国語、英語、数式、…、里語によってテレポーテーションのように飛び回る心地よさを感じました。里語を使って算数授業も変えてみたいと思います。地方にいながらにして最高レベルで最高クオリティーの算数を提供すると言っていたことに嘘はありませんが、上にはもっと上がありました。

*友愛数…異なる2つの自然数の組で、自分自身を除いた約数の和が互いに他方と等しくなるような数。親和数。最小の友愛数の組は(220,284)

                 

創(きず)から

里みちこ「創から」

 

 多くの人に迷惑かけて、里さんとの大切な時間が失われ、すごくすごく痛かったのに、とても幸せだったという、とてもわかりにくいお話を聞いてください。

 里さんを迎える前日に、非常勤講師先の慰労会がブッキングされていて、そこで算数の話をいっぱいしてやろうと、詩展の準備はどこか上の空でした。結局、準備は人任せにして、飲み会の方に向かいました。

 飲み会では、若い先生から持ち上げられ、飲めもしないのにトップギア。気が付いたら床に伏せていました。

 救急車が来ますから、と起こしてくださった店長さんに、キャンセルしてとお願いしたのですが、顔を拭いたおしぼりが真っ赤になったことと、救急隊の方に「(救急車を)店の真ん前につけてください」の言葉がとてもかっこよくて、店長さんのおっしゃるとおりにしました。

 救急搬送は初めての経験でした。体は固定され、痛みもあって窮屈なはずですが、安心感に包まれて幸せな気分でした。受け入れ病院もすぐに決まって、あっという間に到着。

 救急隊の方も、ドクター、ナースの方々も、その処置するスピードとは対照的な、アンダンテのリズムで、とてもやさしい言葉のシャワーをかけてくださいました。

 酔っ払いにですよ。もったいないことです。自業自得なんですから。それにですよ、そこに寝ている男は、かつて、膝をすりむいて泣いている子に、「あんたが靴紐をちゃんと結んでないからだよ。我慢しなさい!」と、担任の子どもをあんた呼ばわりするような教師だったんですよ。診てやらなくていいです。それなのに、酔っ払いであろうが、誰彼の区別なく、慈愛の精神を降り注いでくださいました。ありがたいことです。もったいないことです。

 鼻骨骨折でしたので、激痛を感じることもありましたが、悲しい感情とか、悔やまれる感情はありません。ホスピタリティーに包まれたことが思い起こされ、気持ちのよささえ感じるほどでした

 里みちこ詩展には、最終日ぎりぎりで行くことができました。バス停から歩いて向かうと、納屋の二階からかけられた「創から… 絆」のタペストリーが目に飛び込んできました。

 ぼくのために。そんなことあろうはずもないですが、傷つくことから気づくこの三日間、全てが自分のことのように思えました。ありがたいことです。もったいないことです。 

創からの詩、絆の字

 

里語とぞうきん

オイラーの等式

 里語シリーズを足かけ2年に渡ってお送りしています。今回もビッグなお話です。

 松江算数活塾の教室には、里さんからいただいた何ともスケールの大きいぞうきんがあります。それは、なんと、オイラーの等式が刺繍されているぞうきんです。オイラーと聞いただけでスケールの大きさは感じていただけるでしょうけれど、もう少しオイラーの等式について解説させていただきます。

 数学は、計算法則や方程式の解き方などを研究する代数学、図形や空間について研究する幾何学、微分や積分などの関数について研究する解析学の3分野を基本にして構成され、その3分野のそれぞれの研究によって、代数学からは虚数単位「i」が、幾何学からは「π」が、解析学からはネイピア数「e」が誕生しました。

 1748年オイラーの等式は発表されましたが、数学の3分野から誕生した特別な数が、極めてシンプルに表現されているので、人類の至宝とも呼ばれています。

 そのオイラーの等式がぞうきんに刺繍されているんです。

「とてもスケールの大きいぞうきんですねえ。」

「そうなの。ぞうきんは大きいのよ。」

「?!」

「ぞうさんよりも」

「?!」

「ぞうさん+一=ぞうきんでしょ。ぞうさんよりも1大きいの。」

里語に導かれ、複素平面を飛び出して、里ワールドを飛び回っています。

(塾長 川上宜久)