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ゆうかんな女の子ラモーナ1

 今回紹介するのは、アメリカ児童文学の傑作「ゆかいなヘンリーくんシリーズ」(全14巻)の中の一冊です。作者はベバリイ・クリアリーさん、訳者は松岡享子先生です。東京子ども図書館名誉理事長、子どもと本を何よりも愛された松岡先生は私の尊敬する方。『くまのパディントン』など子どもの本の翻訳もたくさんなさっています。

 松岡先生が2022年に亡くなられた後、松岡先生の本ばかり読んでいました。ヘンリーくんシリーズも2か月かけて全部読みました。読みふけりました。ヘンリーくんを主人公に始まったシリーズは、後半になると、ヘンリーくんの友達ビーザスの妹ラモーナが主人公の物語になっていきます。ラモーナは2巻目から登場し、初めは周りを手こずらせる困った子として描かれます。そんなラモーナが失敗を繰り返しながら、豊かな感情をもつ個性的な女の子に成長していく姿が生き生きと描かれます。出版順でなくてもおもしろく読めますので、まず読んでみるなら9巻目のこの本をおすすめします。

ゆうかんな女の子ラモーナ2

 この巻ではラモーナが一年生になり、はりきって学校へ出かけますが先生や友達とうまくいきません。保護者会の日に見てもらうため紙袋でふくろうを作る時間。ラモーナのふくろうを隣の席のスーザンがまねしてきます。けれど先生はスーザンのふくろうをみんなの前でほめました。これではラモーナがまねしたみたいです。ラモーナは自分のふくろうをくしゃくしゃにしてゴミ箱に入れ、スーザンのもつぶしてしまいます。この時のラモーナの気持ちがありのままに書かれています。

 聞き分けのよい子がいい子と考える人にとっては、ラモーナは面倒な子です。通知表に「自制心をもつように」と書かれたことに納得できないラモーナ。お母さんが「どうしたらいいのかしらねえ、おまえのことは」とつぶやくと、ラモーナは言います。

「かわいがってくれたらいいんだよッ!」

「(お母さんたちが)かわいがってるのはビーザスじゃないか」

 声に出してハッとして、でも胸につかえていたことが言えて少しらくになって、それからラモーナと家族は本音で話し合います。この家族、素敵な家族だなと思います。

 多くの子どもたちに、自分の気持ちをわかってもらえなかった経験があるでしょう。私にもあります。ラモーナが自分の分身のように思えて、抱きしめたくなりました。松岡先生がこの本を日本の子どもたちに訳してくださった気持ちもわかるなあと思うのです。

(『ゆうかんな女の子ラモーナ』学研   ベバリイ・クリアリー作 松岡享子訳 小学2・3年から)

  児童文学愛好家  天野和子

ゆうかんな女の子ラモーナ3