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宝島 海賊ジョン・シルバーとジム・ホーキンス少年

 『宝島』は冒険小説の名作中の名作と言われています。数年前、読書家の先輩に勧められた本ですが、冒険ものは好みでない私は、あまり期待せずに読み始めました。しかし予想外のことが起きたのです。まだいくらも読まないうちに、海賊たちの荒っぽい話し声や、煙草とラム酒とタールのにおいを感じ、男たちがしゃがれ声で歌う船歌が、すぐそばから響いてきました。

 亡者の箱にゃあ15人 

 えんやこらさ、おまけにラムが一瓶よ!

 今でも『宝島』と聞くとこの歌がよみがえり、頬に刀傷を持つ男や、黒丸が書かれた呼び出し状、そして宝島の地図が浮かんできます。

 物語は、ジム・ホーキンズ少年が一人称で語る形式をとっています。ある日、ジム少年の父親が営む宿屋「ベンボー提督亭」に怪しげな老水夫が現れます。男はやがて死に、宝島の地図が残されました。その島にはフリント船長率いる海賊団が集めた財宝が隠されているらしいのです。ジム少年は、医者のリブジー先生や地主のトリローニさん、トリローニさんの使用人たち、それにスモレット船長をはじめ雇われた水夫たちと一緒に、ヒスパニオーラ号で宝島へ向けて出航します。

 雇われた男たちの中でひときわ強い印象を与えるのが、料理番のジョン・シルバーです。

宝島 海賊

 一本足で大柄、オウムを飼っているこの男。撞木杖を器用に操り、手際よく料理を作るだけでなく、面倒見がよく、気もきいて、なかなかに魅力的な人物。ジムにも声をかけていろいろな話を聞かせてくれます。

 ところがある日、甲板に置いてあるりんご樽の中で眠り込んでしまったジムは、大変な秘密を聞いてしまいます。雇われた水夫たちの多くは実は海賊で、ジョン・シルバーはフリント海賊団の元一味、海賊たちは財宝を自分たちのものにするため、島に着いたら反乱を起こそうと相談していたのです。

 秘密を知った少年はどうするのでしょうか。島に着くと謎の男ベン・ガンも登場します。それからは、誰が敵か誰が味方か、手に汗にぎる攻防戦。大人たちはもちろんですが、ジム少年が死ぬか生きるかの思いきった行動に出る場面など、最後までハラハラし通しです。悪役ですが魅力的なジョン・シルバーからも目が離せません。果たしてジムたちの運命は?

宝島 ジム・ホーキンス少年とベン・ガン

 この本が出版されたのは1883年。140年も前ですが、古くは感じません。読み継がれ残っているのはおもしろいから!「亡者の箱にゃあ十五人」の歌が聞こえてきたら、あなたもジムと一緒に宝探しの航海に出ることになるでしょう。

(『宝島』R・L・スティーブンソン作  福音館文庫 小学校上級以上)

児童文学愛好家 天野和子


次回はヒュー・ロフティングの『ドリトル先生航海記』です。