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ドリトル先生航海記 筏で漂流

 ドリトル先生のシリーズは13冊出ていますが、1冊目は『ドリトル先生アフリカゆき』、2冊目がこの『航海記』です。私は『航海記』の方が好きなのでこちらを紹介します。1冊目から読んでも、『航海記』から読んでも楽しめます。            

 小学生の私は、ドリトル先生のことが大好きで、心から尊敬していました。先生は動物の言葉が話せるお医者さんで博物学者。度々長い旅に出かけていきます。

 ドリトル先生の家には、先生を慕う動物たちが次々にやってきます。中でもオウムのポリネシア、犬のジップ、あひるのダブダブ、猿のチーチーは先生と共に暮らし、先生を家族のように支えています。トミー・スタビンズ君という少年がドリトル先生の助手をつとめることになるのですが、先生のお手伝いができるスタビンズ君がうらやましくてたまりませんでした。特に印象に残っている場面があります。たどり着いたクモザル島で、この物語の重要な登場人物ロング・アローとドリトル先生が対面を果たす場面です。

アメリカ先住民で博物学者のロング・アローは、山から落ちてきた大きな岩のために洞窟に閉じ込められていたのです。ドリトル先生たちの懸命の捜索で無事生還を果たしたアローに、ドリトル先生が歩み寄る場面。互いを尊敬し合っている二人の対面に感動が広がります。

 もうひとつは、船が難破した先生一行が、大ガラス海カタツムリの殻に入って帰るところです。家ぐらいある大きなカタツムリで、殻はガラスのように透き通っています。海の中を眺めながらの楽しい帰路の旅。不思議で、おもしろくて、ここも好きな場面です。

 この本を読み返していたら、知り合いのTさんが「あっ、ドリトル先生航海記!」と声をあげました。「子どものとき読んだよ」と声が弾んでいます。家にあった児童文学全集で「航海記」を読み、おもしろくなって全巻読んだと言うではありませんか。他にはどんな本を読んでいたか、ひとしきり話がはずみました。

「子どもの頃は本がおもしろかったな~」とTさん。私も同感。いい歳になった今だって児童文学はとてもおもしろいけれど、子どもの頃はもっと夢中で読めた気がします。

 だから、子ども時代に良質な児童文学と出合うことは幸せなことだと思うのです。子どもと一緒に本を楽しんでくれる大人が一人でも増えますように、と願いながらこの文章を書いています。

ドリトル先生航海記 戦い

(『ドリトル先生航海記』ヒュー・ロフティング作 井伏鱒二訳 岩波少年文庫 小学3・4年以上)

     児童文学愛好家 天野和子